トリリンガル育児をしていると、必ず聞かれるのが、「子どもは、言葉が混ざったり、混乱したりしない?」というものです。
ともがい家での実例をシェアしますのでご参考になれば嬉しいです。
言葉が混ざる≠脳内混乱
子どもたちの発話過程を見ていると、そもそも、人間は脳内にインプットされた単語や表現からしかアウトプットできないようです。
だから、例えば、「りんご」という言葉については「apple」と英語での呼び方を教えておいて、「食べる」については、「吃」と中国語での呼び方を教えたとします。
さらに、中国語での普段の話しかけによって子どもが自然とインプットした正しい中国語の動詞と名詞の語順があります。
そうすると、子どもは「りんごを食べる」と言いたいときに、それまで脳内にインプットされた単語や表現方法をそのまま口に出すので、
「吃apple」
と言ってしまうようなことはあります。
その限りでは、あたかも混乱が生じているように感じられると思います。
しかし、この現象は、単に「りんご」に相当する中国語の単語のインプットがないから「apple」と言わざるを得なかったからなのです。
言語世界の区別
やがて、1~2年ほどすると(もちろん、トリリンガル育児を始めた年齢にもよりますが)、それぞれの言語での語彙量が増えることで、徐々にそれぞれの言語特有の語感が培われていくようです。
したがって、「りんご」という単語を言うときは「食べる」という言い方をし、「eat」という単語を言うときは次に「(an) apple」を持っていくべきというように言語の区分けができるようになっていきます。
言語には、それのもつ雰囲気やワールドのようなものがあるのでしょう。それを単に言葉の使い方にすぎないと言うこともできれば、文化であると大きく捉えることもできると思います。
これを反映する例として、3歳の息子は、普段、姉を「姐姐」(「お姉さん」の中国語)と呼んでいますが、その姉と英語で話しながら遊んでいるときは「Come on, ○○(姉の名前)!」のように、姉を名前で呼び捨てにしています。
息子なりに、中国語と英語の言語世界でのルールは違うというように感じ取ったのでしょう。
また、会話の相手によっても言語のスイッチを切り替えできるようになっていきます。
私は息子と話すときに英語を使うことが比較的多かったのですが、それを、「ママとは英語を話すもの」と自然にインプットしたのか、息子は私と話すとき、開口一番、英語になることが多いです(笑)。
ただ、それでも、途中で私が中国語で話すようになると、息子も中国語で話すようになります。
実際、私と夫は中国語と日本語のダブルネイティブですが、以前は習慣的に専ら日本語で会話していました。
トリリンガル育児を始めて、子どもたちの前では中国語で会話することを意識するようになってからは、中国語で会話することもあれば日本語で会話することもあります。
会話の途中で(少なくとも句点で分けられるところで)使用言語を切り替えることもあります。
それでも、二つ以上の言語を文の中でごちゃ混ぜに話すのではなく、それぞれの言語で文や段落を完結させています。
結論
トリリンガル育児(またはバイリンガル育児)をすると子どもが混乱して、そのために言語の発達が遅れるのではないか。
正しい母国語を話せなくなるのではないかなどと憂慮して、バイリンガル育児さえ始められないでいる方がいらっしゃるのなら、それは全く心配しなくて良いことだとお伝えしたいです。
私の答えは、「結果的に言葉は混ざらなくなる」です。
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