「FIREするには1億円必要」
「4%ルールなら年間400万円使える」
「いや、子どもがいるなら2億円は必要」
FIREについて調べていると、さまざまな数字が出てきます。
では、
40代・子ども2人・住宅ローンありの共働き家庭が、夫婦のどちらか一方だけ先にFIREする場合、
実際にはいくら必要なのでしょうか?
ともがい自身、これまで何度もこの問題を考えてきました。
金融資産が1億円を超えても「まだ怖い」と感じ、1.4億円になっても暴落時のFIRE継続性を計算し、44歳で辞めるか50歳まで働くかも比較しました。
そして最終的には、45歳でFIREするという決断に至りました。
これまでの記事でも、資産額や投資収入、住宅ローン、教育費などを何度もシミュレーションしてきました。
その過程で、私は「FIREに必要な資産」を単純に「年間生活費×25」と考えるのは、40代子育て世帯には少し雑すぎると考えるようになりました。
そこで今回は、
「片方FIREに必要な資産」をどう計算すればいいのか
を、できるだけシンプルな方法に整理してみます。
結論:
まず結論から。
40代・子育て世帯の片方FIREでは、
必要資産=恒常的な年間赤字を埋める運用資産+教育費などの大型支出+現金バッファ
と考えるのが、私は最も現実的だと思っています。
ここで重要なのは、「年間生活費」ではなく「年間赤字」を見ることです。
例えば、
- 年間支出:1,000万円
- 働き続ける妻の手取り:700万円
なら、
1,000万円-700万円=300万円
なので、FIREした側が資産から補う必要があるのは年間300万円です。
この300万円を3%で運用しながら取り崩すなら、
300万円÷3%=1億円
が一つの目安になります。
つまり、
「年間1,000万円使う家庭だから2.5億円必要」ではありません。
片方が働き続けるなら、必要資産は大きく変わります。
なぜ「4%ルール」だけでは判断できないのか?
FIREでは「4%ルール」が有名です。
例えば年間400万円を使うなら、
400万円÷4%=1億円
という考え方です。
しかし、40代の子育て世帯にそのまま当てはめるのは危険だと思っています。
理由は3つあります。
① 配偶者の給与収入がある
完全FIREと片方FIREでは、必要資産がまったく違います。
年間1,000万円必要な家庭でも、配偶者が手取り700万円を稼げば、不足するのは300万円です。
② 教育費は「永遠に続く支出」ではない
子どもが大学を卒業すれば、教育費は大きく減ります。
つまり、40代から50代前半にかけての教育費と、60代以降の生活費を同じ「年間支出」として扱うのは適切ではありません。
③ 住宅ローンも永遠ではない
住宅ローンには返済期間があります。
したがって、
「今後30年間ずっと年間1,000万円必要」
という前提でFIRE資産を計算するのも、かなり保守的です。
では、どう計算すればいいのか?
私は、以下の4段階に分けて考えることにしました。
STEP1 年間の恒常支出を計算する
まず、
- 食費
- 光熱費
- 通信費
- 保険
- 日用品
- 交通費
- 旅行
- 娯楽
など、毎年ある程度発生する生活費を計算します。
STEP2 FIRE後も働く配偶者の手取りを引く
ここが片方FIREの最大のポイントです。
STEP3 教育費・住宅などの「一時的な大型支出」を別枠にする
大学費用などを毎年のFIRE生活費に永久に含めるのではなく、
「あと○年でいくら必要か」
という形で別に確保します。
STEP4 現金バッファを別に持つ
株式市場が暴落したときに、
「生活費が足りないから今すぐ株を売らなければならない」
という状態を避けます。
具体的に4つの家庭を比較してみる
ここでは比較しやすいように、すべて同じ条件で考えてみます。
「FIREする側は無収入」
「もう一人は働き続ける」
「運用資産から不足額を補う」
という条件です。
そして運用資産から恒常的に取り崩せる率は、4%ではなく**3%**を基本ケースとします。
| ケース | 年間支出 | 配偶者の手取り | 年間不足額 | 3%で必要な運用資産 |
| ① 夫婦のみ | 500万円 | 500万円 | 0万円 | 0円 |
| ② 子ども2人・教育費控えめ | 800万円 | 500万円 | 300万円 | 1億円 |
| ③ 子ども2人・教育費厚め | 1,000万円 | 600万円 | 400万円 | 約1.33億円 |
| ④ 住宅ローン・教育費とも大きい | 1,300万円 | 900万円 | 400万円 | 約1.33億円 |
この表から分かることがあります。
「年間支出がいくらか」より、「FIRE後に年間いくら赤字になるか」のほうが重要です。
例えば、
年間支出1,300万円でも、配偶者の手取りが900万円なら不足額は400万円。
一方、
年間支出800万円でも、配偶者の手取りが300万円しかなければ不足額は500万円です。
つまり、
片方FIREの必要資産は、家計の大きさだけでは決まらない。
これが私が実際にFIREを考えてきて感じた、一番重要なポイントです。
「必要資産1億円」の意味を間違えてはいけない
ここも非常に重要です。
例えば、
「1億円あれば年間300万円を生み出せる」
という場合。
これは、
1億円×3%=300万円
という計算です。
しかし、「毎年必ず300万円の配当がもらえる」という意味ではありません。
株価が下落することもあります。
為替が円高になることもあります。
配当が減ることもあります。
私自身、FXスワップや高配当投資など、比較的キャッシュフローを重視した運用をしていますが、それでも「毎年必ず同じ金額が入ってくる」とは考えていません。
だからこそ、運用資産とは別に現金を持つことが重要になります。
私が「3%」を基準にする理由
FIRE界隈では4%ルールが有名です。
しかし、私は40代でFIREするなら、4%をそのまま目標にするより、3%程度を基準にしたほうが安心だと考えています。
特に、
- FIRE開始年齢が40代
- 子どもがまだ学生
- 住宅ローンが残る
- 日本円で生活する
- 株式市場が暴落する可能性がある
という条件では、長期間の資産寿命を考える必要があるからです。
もちろん3%だから安全、4%だから危険という単純な話ではありません。
これはあくまで、
「FIREを判断するための保守的な目安」
として使っています。
「教育費」を別枠に
40代FIREで一番やってはいけないと思っているのが、
「年間生活費に教育費を全部足して、それを永遠に続く支出として計算する」
ことです。
子どもが大学を卒業すれば、教育費はなくなります。
したがって、
恒常支出
毎年の生活費
↓
一時的支出
大学費用・留学費用・大型旅行など
↓
資産形成
老後資金
というように分けたほうが、実態に近くなります。
我が家の場合も、子どもの教育費についてはFIRE後の資産計画の中で明確に確保する考えです。
例えば教育資金として2,000万円を別に確保しておけば、
「教育費まで含めて毎年いくら必要なのか?」
という不安をかなり減らすことができます。
「自宅」はFIRE資産に入れるべきなのか?
これも悩ましいところです。
例えば自宅が1億円あっても、そこで生活している限り、その1億円から生活費を生み出すことはできません。
そのため私は、
自宅の資産価値=FIRE資産
とは考えていません。
自宅は「住居」です。
売却して小さな家に住み替える、あるいは賃貸に移るのであれば資産として使えますが、現在の生活を維持する限り、基本的にはFIRE資産から除外したほうが安全です。
逆に「現金」は無駄なのか?
私はそうは思いません。
むしろ40代FIREでは、現金は非常に重要です。
例えば運用資産1億円を持っていて、
「生活費が必要だから毎年300万円売却する」
という状態で暴落が起きたら、心理的にはかなり厳しくなります。
そこで、
生活防衛資金+数年分の生活費
を現金・定期預金・個人向け国債などで確保しておく。
そうすれば、暴落時に株式を無理に売却する必要がありません。
私自身も、FIRE後は「資産を全部投資する」のではなく、かなり大きめの現金バッファを残す方向で考えています。
では、我が家はいくら必要なのか?
ここからが、この記事を書こうと思った一番の理由です。
我が家は、
- 40代夫婦
- 子ども2人
- 共働き
- 住宅ローンあり
- 金融資産1億円超
- FIRE後も妻は働く
- 投資収入あり
という家庭です。
これまで私は、
「金融資産1億円では怖い」
「1.4億円あっても暴落が怖い」
「44歳で辞めるのか、50歳まで働くのか」
と何度も考えてきました。実際、このブログでも暴落シミュレーションや44歳・50歳比較を公開しています。
しかし、今振り返ると、問題は「1億円か1.5億円か」だけではありませんでした。
本当に重要だったのは、
FIREした翌年から、毎年いくらの赤字が発生するのか?
です。
我が家の場合、「年間生活費750万円」が重要な数字だった
我が家では、住宅費を除いた生活費は年間約750万円を一つの基準にしています。
これに住宅費、教育費などを加えて、FIRE後の年間キャッシュフローを考えます。
ここで妻が働き続ける。
さらに、
- 配当
- FXスワップ
- その他の投資収入
があります。
すると、FIRE後に資産から恒常的に補填しなければならない金額は、世帯全体の支出そのものよりもずっと小さくなります。
これが「片方FIRE」の最大の強みです。
我が家が最終的に重視した「3つの資産」
そして、FIREを本気で考える中で、私は資産を3つに分けるようになりました。
① 生活を支える運用資産
オルカンなどの長期成長資産、高配当、その他の運用資産。
ここから将来的な生活費を生み出します。
② 教育費などの目的別資金
大学・留学など、近い将来に使う可能性が高いお金。
これは株式市場の暴落で大きく減ってはいけません。
③ 暴落時に使う現金
定期預金や国債など。
「株が下がっても生活できる」という心理的な安全装置です。
この3つを分けて考えると、
「金融資産が1.5億円あるから大丈夫」
という単純な判断ではなく、
「FIREしても生活を継続できる構造になっているか」
を見ることができます。
結局、40代子育て世帯の片方FIREはいくら必要なのか?
ともがいの現時点での答えは、
年間不足額300万円
→ 運用資産1億円前後
年間不足額400万円
→ 運用資産1.3億円前後
年間不足額500万円
→ 運用資産1.7億円前後
を、まず一つの目安にします。
ただし、これだけでは不十分です。
ここに、
+教育費
+住宅関連の大型支出
+生活防衛資金
を加える必要があります。
したがって、例えば年間400万円の赤字家庭なら、
運用資産:約1.3億円
教育資金:2,000万円
現金バッファ:3,000~5,000万円
というように、目的別に資産を分けて考えるほうが、私は現実的だと思います。
「1億円あればFIREできる」は半分正しく、半分間違っている
ここまで計算してみると、
「1億円あればFIREできる」
という言葉も、
「1億円ではFIREできない」
という言葉も、どちらも正しくありません。
正確には、
1億円で年間300万円程度の不足を補える家庭なら、片方FIREは十分検討できる。
ということです。
逆に、
年間1,000万円の支出があり、配偶者の手取りが300万円しかない
なら、年間700万円の赤字です。
3%で考えれば、
700万円÷3%=約2.3億円
必要になります。
同じ「金融資産1億円」でも、FIREできる人とできない人がいるのは当然なのです。
だから私は「FIRE可能資産」ではなく「FIRE安全圏」を考える
ここが、これまでFIREについて考え続けてきた私なりの結論です。
FIREには、
① FIRE可能ライン
計算上、仕事を辞めても生活できる。
↓
② FIRE安全ライン
暴落しても数年間生活できる。
↓
③ FIRE安心ライン
教育費・住宅費・老後資金まで含めても、「もう働かなくても大丈夫」と思える。
この3段階があると思っています。
そして私は、①に到達しただけでは会社を辞められませんでした。
1億円を超えても不安でした。
1.4億円になっても暴落が怖かった。
だからこそ、私はこれまで何度もシミュレーションを繰り返しました。
そして最終的に、「45歳でFIREする」という決断に至りました。
FIREに必要なのは「何億円」ではなく「赤字を何年耐えられるか」
FIREを目指している人に、もし一つだけ伝えるなら、
「FIREするには○億円必要」と考えるのをやめて、自分の家計の年間赤字を計算してみてください。
と言いたいです。
例えば、
年間支出800万円
- 配偶者の手取り500万円
= 年間赤字300万円
なら、
300万円÷3%=1億円。
ここに教育費や大型支出、現金バッファを加える。
これだけでも、自分のFIRE必要資産がかなり具体的に見えてきます。
そして、もし年間赤字が500万円あるなら、1億円では心もとない。
逆に、配偶者の収入だけで生活費をほぼ賄えるなら、金融資産1億円どころか、もっと少ない資産でも片方FIREは可能です。
最後に
FIREは「資産額」ではなく「選択肢」を買うこと
私自身、FIREを考え始めた頃は、
「会社を辞められるだけの資産を作る」
ことが目標でした。
しかし、資産が増えていくにつれて考え方が変わりました。
本当に欲しかったのは、
「一生働かなくてもいい生活」
ではなかったのかもしれません。
欲しかったのは、
「働き続けるか、辞めるかを自分で選べる状態」
だったのだと思います。
だから、FIREを考えるときに重要なのは、
「1億円あるか?」
「2億円あるか?」
だけではありません。
自分の家庭なら、
年間いくらあれば生活できるのか。
配偶者はいくら稼ぐのか。
子どもの教育費はいくら必要なのか。
住宅ローンはいくら残るのか。
暴落したとき、何年間投資資産を売らずに生活できるのか。
これらを一つずつ計算していく。
その結果、
「まだ働かなければいけない」
となるかもしれません。
あるいは、
「実はもう辞めてもいい」
となるかもしれません。
私自身も、まさにこの計算を何年も続けてきました。
そして今は、45歳という一つの区切りで、会社員を卒業することを決めています。
FIREは、資産額を競うゲームではありません。
「自分と家族にとって、どこまで働けば十分なのか」を考えるゲームなのだと思います。




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