ある言語をネイティブ感覚に自由に操れるようにするには、その言語を日常の生活言語として使い続けなければなりません。
ともがいも小学校低学年のときに日本に来て、地区の公立小学校に通ううちに、日本語がそれまで専ら話していた中国語と同じネイティブレベルになったのです。
これは、決して難しいことではなく、誰しも少なくともその年齢くらいまでにある言語環境に身を置けば自然とその言語を母国語のごとく習得していくのです。
しかし、同様に、生活で使わなくなった言語は自然と話せなくなっていきます。実際、ほぼ同じ年齢のときに日本に来た中国人で、今はもはや中国語ができない人や、理解できても話すことはできない人を何人も知っています。
ともがいが以来、日本で長く生活するもいまだ中国語を理解しネイティブ感覚で話せるのは、紛れもなく、いつ時も変わらず私に中国語で話しかけてきた親のおかげだと思います。
だから、ある言語を身につけ、維持するためには、その言語を日常生活の中で使い続けることが非常に重要なのです。
これを私の子どもたちに対するトリリンガル育児の中にも取り入れています。
と言っても、私の親が当時私に、自分の最も得意とする母国語だけで話しかけ続けることほど容易なことではないと思います。
なぜなら、中国語と日本語のバイリンガルとはいえ、日本で生活する以上どうしても日本語の方が比較的使い心地が良いと感じるともがいが、敢えてもう一方である中国語を使い、さらに、ネイティブでもない英語も使わなければならないからです。英語に至っては、まず育児用の英語表現を教えてほしいほどでした(笑)。
最初の頃は、専ら中国語と英語を使って育児をしていることに大変ストレスを感じたものです。
もちろん、よく間違って(厳密には自分で決めたルールに従っていないだけですが)日本語で話しかけてしまったり、難しいことを説明するときや子どもを叱るときに日本語を使わざるを得なかったりしました。
結果的に、トリリンガル育児を始めて3年経った頃はどのように3つの言語を使って育児をしているかと言いますと、子どもたちにとって、この頃一番使っていなかった言語はどれかということを考えて、その言語をその瞬間の一連の会話に使うというものです。
つまり、3つの言語のどれも後退しないよう、まさに“皿回し”状態なのです。当然ながら、正確にどの言語を使うべきかを特定することはできませんので、まさに感覚で使う言語を選んでいます。
例えば、子どもが日中、日本語を使う保育園や幼稚園に通っているのであれば、家では日本語以外を使うようにします。
中国語を使ったり、また次の瞬間、英語を使ったりしているのです。
また、中国から祖父母が来るときは、祖父母が子どもたちに専ら中国語で話しかけるので、私はできるだけ英語を使うようにしています。
もっとも、「トンボ」や「扇風機」、「西瓜」といった単語に関しては、子どもたちの3か国語の語彙力を上げるために、あえて同じことを2~3種の言語でそれぞれ言うようにしています。
また、こちらから言ってあげるばかりでなく、「トンボ用中文叫什么?(トンボの中国語ってなんて言うの?)」「Then, how about in English?(じゃあ、英語は知ってる?)」のように子どもたちにクイズすることもあります。
幸い、ともがい夫もトリリンガル育児に協力的なので、自宅にいるうちは(いる時間は非常に限られていますが)、気まぐれに(!)中国語か英語で子どもたちに話しかけてくれているようです。
とにかく、子どもたちをトリリンガルにするべく、子どもたちの前では親は常に言葉に油断できないでいますね(笑)。
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